東京高等裁判所 昭和56年(ラ)555号 決定
抗告人は、まず、本件歩合外務員契約が雇傭契約に当るとし、相手方は使用者として、従業員たる抗告人のしたいわゆる「地場受け」並びに「名義、住所貸し」の各所為につき事前にこれを規制し得たにもかかわらず、これを怠り、右各所為の故をもって抗告人を懲戒解雇に付したのは解雇権の乱用である旨主張するが、本件記録によれば、右歩合外務員契約によって、抗告人は相手方に使用され、その指示にしたがって証券取引法の定める外務員としての職務を行うものとされ、相手方の営業時間内に所属営業所に出社することを義務づけられた上、営業所内に特定の机を与えられて執務する等一応の従属関係にあったことが認められるが、他方、歩合外務員は自己個有の顧客を有し、証券取引はその自由意思に基づいてなされ、その報酬もすべて歩合制であって、賞与、定年、退職手当等の各制度のらち外にあり、社員就業規則の適用も受けない独立の営業者たる性格を具有していたこと等の実態に徴し、抗告人と相手方との間の契約関係は、これを委任契約と解するのが相当であるから、抗告人の前記主張は、その前提を欠くものであって、採用の限りではない。
(杉田 中村 松岡)